労働保険とは
労働保険とは、労災保険(労働者災害補償保険)と 雇用保険の総称した言葉であり、保険給付は両保険で別個に行われていますが、労働保険料の徴収については両保険は労働保険として原則的に一体のものとして取り扱われています。
労働保険は労働者を1人でも雇用していれば、その事業主は成立(加入)手続きを行い、労働保険料を納付しなければならないことになっています。(農林水産の事業の一部を除く)
労働保険事務組合について
事業主の事務負担を軽減するため、中小事業の事業主を構成員とする事業協同組合、商工会議所、商工会などの事業主の団体が、事業主に代わって労働保険事務の処理を行うのが労働保険事務組合の制度です。延岡商工会議所は厚生労働大臣の認可を受けた労働保険保険事務組合です。
事務委託の範囲
事務組合が事業主の委託を受けて処理することができる労働保険事務は、事業主が行うべき「労働保険料の納付その他労働保険に関する事務(印紙保険料に関する事項を除く)と一般拠出金に関する事務」のすべてで、その具体的範囲は次のとおりです。
- 概算保険料、確定保険料その他労働保険料と一般拠出金及びこれに係る徴収税の申告・納付
- 雇用保険の被保険者資格の取得及び喪失の届出、被保険者の転勤の届出その他雇用保険の被保険者に関する届出等に関する手続き
- 「保険関係成立届」「雇用保険の事業所設置届」等の提出に関する手続き
- 労災保険特別加入申請、変更申請、脱退申請等に関する手続き
- 労働保険事務処理の委託、委託解除に関する手続き
- その他労働保険の適用徴収に係る申請、届出、報告等に関する手続き
※印紙保険料に関する手続き、雇用保険・労災保険の保険給付に関する請求書などに係る事務、等は委託事務の範囲から除かれています。
委託事業主の範囲
事務組合が労働保険事務の処理の委託を受けることのできる事業主は次の(1)及び(2)のすべてに該当する事業主です。
(1)事務組合である団体(延岡商工会議所)の会員事業所であること
(2)使用する労働者数(企業全体の)が次の規模以下であること
業種 | 使用する労働者数 | |
① | 金融業、保険業、不動産業、小売業 | 50人以下 |
② | 卸売業、サービス業 | 100人以下 |
③ | その他の事業 | 300人以下 |
※労働者が0人の場合は委託を受けることはできません。
事務委託のメリット
中小企業の事業主が労働保険事務組合に事務の委託をした場合、次のようなメリットがあります
①労災保険の特別加入
労災保険は事業に使用される労働者の保護を目的とする制度で、事業主や代表者の方は原則加入できませんが、労働保険事務組合に委託をしている場合は特別に任意に加入することが認められています。
特別加入について詳しく知りたい方⇒特別加入制度のしおり(厚生労働省HPへ)
②労働保険料の分割納付(延納)
労働保険料は全額一度に納付することが原則ですが、労働保険事務組合に事務委託をしている場合は年3回の分割納付が認められています。
事務委託手数料
年間労働保険料の10%+消費税
雇用保険委託関係書類
●「雇用保険被保険者資格取得届委託書」
(労働者雇用時に延岡商工会議所に提出していただく書類)
「【記入例】雇用保険被保険者資格取得届委託書」
●「雇用保険被保険者資格喪失届及び離職票発行委託書」
(労働者離職時に延岡商工会議所に提出していただく書類)
「【記入例】雇用保険被保険者資格喪失届及び離職票発行委託書」
労働保険関係
保険料率
●令和7年度~の雇用保険料率はこちら⇒令和7(2025)年度 雇用保険料率のご案内(厚生労働省HPへ)
●令和6年度~の労災保険料率はこちら⇒労災保険料率(厚生労働省HPへ)
給付関係
■高年齢雇用継続給付
高年齢雇用継続給付は、高年齢者の就業意欲を維持、喚起し、65歳までの雇用の継続を援助、促進することを目的とし、60歳到達等時点に比べて賃金が75%未満に低下した状態で働き続ける60歳以上65歳未満の一定の雇用保険一般被保険者に給付金を支給する制度です。
詳しくはこちら⇒『高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続について』
■育児休業等給付
育児休業等給付として、子の年齢や養育の状況に応じて、要件を満たす場合に出生時育児休業給付金、育児休業給付金、出生後休業支援給付金、育児時短就業給付金が支給されます。出生後休業支援給付金、育児時短就業給付金は、令和7年4月1日から創設される給付金です。
詳しくはこちら⇒『育児休業等給付の内容と支給申請手続』
■介護休業給付
介護休業給付とは、労働者が要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族を介護するための休業給付です。
詳しくはこちら⇒『介護休業給付の内容及び支給申請手続について』
■労災保険給付
業務災害とは、労働者が業務を原因として被った負傷、疾病、傷害または死亡(以下「傷病等」)をいいます。
業務と傷病等との間に一定の因果関係があることを「業務上」と呼んでいます。
業務災害に対する保険給付は、労働者が労災保険の適用される事業場に雇われて、事業主の支配下にあるときに、業務が原因となって発生した災害に対して行われます。
詳しくはこちら⇒『労災保険給付の概要』